株式会社アルファヴィル一級建築士事務所

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NEXT21 605 renovation LINKED HOUSE

「大阪ガス実験集合住宅 605住戸改修 つながる家-LINKED HOUSE-」 

NEXT21は1993年に建てられた実験集合住宅である。竣工以来30年間、大阪ガスと研究者、設計者のワーキンググループは、時代が必要とする住まいの理念について議論を重ね、計画を練り、実現された住戸での実験を続けてきた。今回2022年改修にあたって、高田光雄氏(京都美術工芸大学教授)、清家剛氏(東京大学教授)、近本智行氏(立命館大学教授)、近角真一氏(集工舎建築都市デザイン研究所)、加茂みどり氏(追手門学院大学教授)、土井脩史氏(大阪公立大学講師)と大阪ガスのメンバーからなる継続改修検討ワーキンググループは、多様な生活スタイルをもつ単身者の住まいをテーマとした。このテーマのもと設計を依頼された私がキーワードとしたのが「つながり−Link」である。孤立した住空間ではなく、ウェブサイトのリンクのように、さまざまなレイヤーで空間が繋がり合う住まいを提案したいと考えた。

その特徴として、まず挙げられるのが、内部と外部が重なる場としての中間領域である。日本の環境に即した集合住宅について考えるとき、採光や通風を中間領域を介して調整する住様式はもっと取り入れられてもいいのではないか?特にNEXT21の共用空間には豊かな植栽が設けられており、ここから住戸のバルコニーへとつながる中間領域を住宅内に設けることで、高層住居で失われがちな自然との繋がりを確保したいと考えた。ふたつ目の特徴は立体街路と呼ばれる共用通路の多層的な魅力を室内にまで取り込む二つの玄関である。ひとり住まいだからこそ、友人や親族などプライベートな他者だけでなく、仕事や家事サービスといったパブリックな他者も受け入れる可能性がある。そこで既存の玄関に加えて立体街路にもう一つ玄関を開き、さらに緩衝地帯としてのアルコーブを設けることで、生活スタイルによってさまざまな動線を選択できるようにした。最後に挙げられる特徴が、設備コアを取り巻くように、玄関からダイニング・リビングを経て寝室までひとつながりとなる平面計画である。コアとの間の引戸及び二カ所の可動間仕切りを適宜開閉することで住空間が伸縮し、多くの友人を招いたり、仕事や趣味のスペースを確保したり、同居人を迎えるなど、住まい方を選べるだけでなく、将来起こりうる変化にも対応する。断面的にも、換気設備を設備コア上部にまとめ、居室部分ではスケルトンの躯体を表して天井高さを確保し、立体街路やバルコニーとの連続感に留意した。 このように様々な空間的なつながりを重ね合わせることで、すでに多様になりつつある単身者の住まい方を、おおらかに受け入れると同時に、新しい「つながり」を生み出すための基地となることを期待している。

https://www.osakagas.co.jp/company/efforts/next21/

NEXT21 改修2022 605号室
集合住宅
大阪市
敷地面積:   1,542.92 ㎡
建物面積:    896.20 ㎡
延床面積:   4,577.20 ㎡
605室 延床面積:82.98 ㎡
地下1階+地上6階
RC造(1〜2階)、プレキャストコンクリート造+RC造(3〜6階)
605室竣工:2022年
フォトクレジット: 大竹央祐

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