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Koyasan Guesthouse Anex SANRO 山籠
外部環境との関係を多方面に拡散させる「高野山ゲストハウス」 のオーナーによる宿泊施設の第2弾である。ツーリストのための人力車の倉庫として取得した建物と庭を、増改築し整えた。
既存の切妻屋根の架かった倉庫に対して増築を10m2 以内とし、庭との新たな関係性をもつ開口部でありながら、壁が少なく間口方向の剛性を高め、既存の弱軸部分を受け止める形状を探し、結晶体のような耐震補強部とした。これは、「入」のようなかたちの2×6材の架構を455mmピッチで並べ、最小木材による最大気積を検討した「高野山ゲストハウス」を、「Skyhole」 で菱形を立体化し発展させていった構造形式を応用したものである。平屋である増築部分には基礎をつくり地面に固定し、既存部分は、石場造り的な免震風の形式とするが、2者は注意深く連結される。倉庫仕様であったこともあり、既存部分の内装に古びて味の出るような魅力は少なかったので、増築部の論理で改修することとした。プレファブリケーションを混えることで、標高800mあるこの場所での施工性を上げ、さらに増築部での立体感をモックアップにより木工場で確認し、身体感覚と共に空間をつくっていった。
「高野山ゲストハウス」では、バックパッカーのためのカプセルに、高野山ならではの宗教建築の醸し出すような雰囲気を重ね合わせ、自然光の影響を最大化する「白」い襞状の内装を提案した。ここでも、同じ細い木材の反復を用いながらも石庭があり、そこからさまざまな距離感のある、より具体的な「自然」が内部に導入される。
この住宅の北向かいにある金剛峯寺では、日本で古来からつくられてきた柱や軒を介した庭とのグラデーションのある関係を見ることができる。こういった日本の伝統建築の側に建つ無機質な倉庫の改修としては、それをただ取り入れるのではなく、非四角形、多面体形状による自然との新しい関係が相応しいと考えた。
軒がないにも関わらず、陰翳礼讃のように黒い内装で、内部の深度が短い距離でも深まり、庭の石に反射する光や緑、そして高野山の中景との関わりが、縁側とは異なる、より多方面化するような非日常的窓辺がつくれないかという提案である。