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カトリック鈴鹿教会
Catholic
Suzuka
Church
三重県鈴鹿市のカトリック教会の建て替えである。自動車関連工場で働く多様な国籍の信徒が増え、教会の拡張と同時に、新たなコミュニティの場としてのシンボル性が求められた。そこで通常個別に建てられる、聖堂、信徒会館そして司祭館をひとつにまとめ、なめらかにそびえる大きな屋根で包むこと、同時に車社会に必要な駐車場を、建物全体を持ち上げて確保することを提案した。
幹線道路の大きな建物に囲まれ、奥深い敷地だったため、駐車場をモジュールとする5mごとに屋根に段差を設け、ハイサイドライトから採光、通風することとした。南端の司祭館から信徒会館、聖堂へと次第に天井を高くしながら、主に熱効率のよい南側から採光し、聖堂内陣上部では再び屋根を下げて北からの均質な自然光を取り入れる。聖堂は、静謐さを表現するシンメトリーな家型断面だが、それ以外の部分では最も天井高さが必要な場所に棟を設け、建物の北から南へと家型をずらして配置した。これにより強い正面性のあるファサードではなく、道路、隣家の隙間、大きな建物の上など周囲360度、あらゆる所から教会を感じられる、動きのある生き生きとした屋根の形について考えた。
またほとんどの信者は自家用車でくるため、駐車場を、隔離するのではなくむしろ広場のような教会活動の起点と捉え、ここを中心に2階のロビーや回廊を立体的に繋げた。聖堂と信徒活動のためのホールそしてエントランスロビーは、広く緩やかな階段で駐車場と結ばれ、大規模なミサや結婚式、埋葬の折には一体的に使われる。言語別の告別会義室や小聖堂、司祭館への廊下が面するサブロビーは、EVと階段で駐車場中ほどの通用口と繋がる。ピロティ南側はバーベキューができる青空広場、西側空地は鈴鹿教会に伝わるルルドのマリア像の庭とするなど、広場としてのピロティ、祈りの場であると同時に、豊かな活動の場である教会となる。そして教会をロードサイドにアピールする屋根が断面方向に関わりをもって重なり合った、現代の教会のデザインし得たのではないかと考えている。
構造 tmsd萬田隆構造設計事務所
設備 村山設備設計
三重県鈴鹿市
地上2階/鉄骨造
敷地面積:1,619.53㎡
建築面積: 839.51㎡
延床面積:1,588.85㎡
竣工:2015