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濫読日記05 

人口減少に興味をもっていたら、この本に目がとまった。
子供のころから、このまま人間がどんどん増えたらどうするんだろう?と素朴な疑問をいだいていたが、実は数の増加はホモ・サピエンスの宿命らしい。
近年、特に縄文時代については気候や食べもの、そして人口までさまざまな新しい発見が続き、このような1冊の本になった。

人口増加は、一律に起こってきたのでなく、これまでに大きな4つの波があったこと。
まずは縄文時代の気候の温暖化による増加と寒冷化による激減。このころ東日本のほうが人口が多かったというのは新鮮な驚き。次に稲作が大陸からもたらされ、食料が安定したことによる増加。この間に日本という国ができるが、8世紀ごろからおそらく農業生産の限界に達し始め、停滞期に入る。

14,5世紀に始まる第3の波は、17世紀には人口革命をおこすほどに大きかったが、これはそれまでの隷属農民の労働力による名主経営農業が、家族労働力を主体とする小農経営へ移行したからだという。ちょっとおもしろい話だが、整えられつつあった市場経済が、利潤を得ることを可能にし、農民自身の生産量拡大への工夫をうながし、そのためには家族を主体とした小規模農のほうが効率がよかったというのだ。
しかしこの波も18世紀、経済発展のいきづまりから停滞期となり、やがて減少に転じる。気候寒冷化による飢饉、伝染病もあったが、さらに大都市の存在が減少に拍車をかけていたというのが興味深い。都市には未婚者が多いことから出生率が低く、過密な状況から災害・病気が大きく影響し死亡率が高かった。経済発展の要である都市で人口が減少するとは、なんと現代の状況を先取りした話であることか!著者は「都市は人口調節装置、一種の蟻地獄として機能していた」とまで書いている!

20世紀の工業化による激増、第4の波も、21世紀に入り停滞、減少にすでに転じている・・・はあ、長くなってしまいましたが、人口という数値を追うだけで、現代のあり方の再考をせまるような、生き生きとした歴史を楽しむことができました。

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