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濫読日記04

[:en]トリエステの坂道 (新潮文庫)
須賀 敦子

ずいぶん昔に読んだ「ミラノ霧の風景」では、60年代、キリスト教系の左翼運動に関わっていたイタリア人の夫との日々が淡々と描かれていたと思う。ここでは、その味わいはそのままに、さらに夫の家族を描くことを通して、戦争でも苦労したイタリアの貧しい人々が、この頃になってもやはり貧しさから抜け出せない、やり場のない悲しみをかかえながら、それでも過ぎていく日々が語られる。雑誌ではやされるおしゃれなミラノとも、質実剛健なスローライフとも違う、でもなにかなつかしいような読後感がある。日本の60年代は、もう遥か昔のように感じられ、「この本の内容のような家族はきっと日本にもいたのだろう」というようなまわりっくどい考え方をしてみないと、自分の身のまわりの過去には今との連続性が感じられないのはなぜだろう?
トリエステの坂道 (新潮文庫)
須賀 敦子

ずいぶん昔に読んだ「ミラノ霧の風景」では、60年代、キリスト教系の左翼運動に関わっていたイタリア人の夫との日々が淡々と描かれていたと思う。ここでは、その味わいはそのままに、さらに夫の家族を描くことを通して、戦争でも苦労したイタリアの貧しい人々が、この頃になってもやはり貧しさから抜け出せない、やり場のない悲しみをかかえながら、それでも過ぎていく日々が語られる。雑誌ではやされるおしゃれなミラノとも、質実剛健なスローライフとも違う、でもなにかなつかしいような読後感がある。日本の60年代は、もう遥か昔のように感じられ、「この本の内容のような家族はきっと日本にもいたのだろう」というようなまわりっくどい考え方をしてみないと、自分の身のまわりの過去には今との連続性が感じられないのはなぜだろう?

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