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New Kyoto Town House


 京都の中心市街地、二条城にほど近いうなぎの寝床状の敷地である。景観規制が厳しい地域であると同時に、近隣の町屋が集団となって形づくる街区中央の空地を積極的に継承していくことも考え、外観および建物配置は町屋を模したヴォリュームとした。  一方内部では、1階に駐車場と寝室、2階にメインフロア、3階に子供室、と3フロアーにわたる諸室を、ずらしながら積み重ね、通常水平垂直方向のみにひろがる間仕切壁に3次元方向の自由度を与えることで、抑揚をもって分節されていながら連続する、高密度でありながらひろがりのある空間をめざした。
 2階から下階に2本、上階に1本つながる3つの階段室では、細かくスキップした各室の間仕切り壁が次第にチューブをかたちづくって、他のフロアーへと住人をいざなう。三角形の多面体によって形成されるチューブは、また次のフロアーにおいて折紙のように、床となく壁となく天井となく緩やかな角度で溶け出していく。多様な角度をもつ間仕切壁はつながりあって、南北面からの光をソフトに反射しながら建物中心部まで届ける。壁はシナベニアで仕上げられており、建物と家具のあいだに位置するスケール感が、移動しながらくぐったりなぞったりする楽しさをうみだす。
 鉄骨造の1方向ラーメンのシンプルな門型フレームを細かく並べて建物外周と床をかたちづくった中に、LGSを立体的に接合して多面体のパネルをつむいでいった。場所と場所、人と人、そして場所と人との距離感に刺激や歪みを与えることで、日常生活の中のありふれた移動も、わくわくする行為になる。そんな遊具のような住機械を提案した。

Photo by Kei Sugino ,K Takeguchi
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