2019-05-21 NEWS

「絆屋ビルヂング」をアップロードしました

絆屋ビルヂング

京都の中心商業地区にたつジュエリー・アーティストのためのアトリエ、ギャラリー、住居が一体となったビル。故人の遺髪やペットの毛などを封入した唯一無二のジュエリー製作を行うアーティストにとって、ここは家族とともに住み、製作を行い、さらに遺骨や遺髪の埋封作業をゲストとともに行う場所でもある。ジュエリー製作に広い場所は必要ないことに加えて、プライベートからパブリックまでがグラデーション状に重なりあった彼の生活スタイルを実現するためには、小さな場所の連なりによる構成がふさわしいだろうと、1800ミリを基準グリッドとする在来木造とし、架構をすべてあらわしにすることとした。敷地は三条通りから柳馬場通りへとぬける細い路地の角。三条通りからアプローチしたゲストが初めに見るのが木の壁による門型ファサードであるように、長手方向には窓を設けない耐力壁とする一方、門をくぐって右手のギャラリー、左手のアトリエ、そして上部の住宅に囲まれた中庭に入ると、すべて開口となっている間口方向のガラスのレイヤーごしに木造架構の連なりと種々の活動の様子が感じられる。アトリエ棟に入ったゲストを迎える、建物を縦断する階段室は、エントランスホール、地下1mにありジュエリーについて話をする応接室、そして地上2mの高さにあって最後の封入作業をする対面制作室を、心静かにつなぐ参道のような場所であってほしいという要望に応え、階段の頂部にトップライトを設け、この自然光をうけて菱形が立体的にうかびあがる壁を、架構と架構との間を柔らかに区切るように設けた。

長手方向の壁、間口方向のガラス、在来モジュールの木造架構に、フロアごとにプログラムを変えた構成という、明快なルールを重ね合わせながら、そこに波うつ壁を挿入することで、住と職との立体的な関係を、空間の密度のようなものとして表現することができたと思う。そしてこのような均質でない空間が、それぞれに適切な距離を持って都市に染み出してゆくことで、四周の建て混んだ街区と内部のプログラムが共振するような、コンテクストの力をひきこんだ豊かな空間がつくられると考えた。

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